総参謀部偵察局所属偵察部隊

@偵察局直属4個偵察大隊

 過去、偵察局傘下に数個の偵察旅団が存在したと知られていたが、現在、偵察旅団は、もはや存在していないものと推定されている。一般的に、現在、軽歩教導指導局隷下と知られる狙撃旅団が過去偵察局所属の偵察旅団の後身と知られている。しかし、今も狙撃旅団が偵察局隷下部隊だと推定する専門家もいる。公開資料でこれ以上分かる内容がないことから、一旦、この問題は、疑問事項として残しておく。

 現在偵察局所属が確実な部隊は、偵察局傘下の偵察大隊である。偵察局直属大隊に対する公開資料は、90年、潜水訓練途中韓国に帰順した北朝鮮4軍団偵察大隊所属の李トクナムの証言がほぼ唯一である。李トクナムによれば、偵察局直轄として4個偵察大隊が存在するという。24偵察大隊は、平壌に駐屯し、外国施設に対する 集体撃術(特攻武術)師範等にもしばしば登場するという。69偵察大隊は、海外浸透を担当する大隊だが、この中でも沖縄に頻繁に浸透するという。71、72偵察大隊の場合、前方軍団隷下偵察大隊と訓練方式に類似するといい、比較的 落下訓練を多く行ったという。

偵察大隊編制図

部隊名 駐屯地 任務 備考
24偵察大隊 平壌特別市 予備、平壌緊急事態対応 李トクナム90
69偵察大隊

海外浸透担当、沖縄等 李トクナム90
71偵察大隊 黄海北道シチョン郡 前方軍団偵察大隊と類似、落下訓練集中 李トクナム90
72偵察大隊 黄海北道シチョン郡 前方軍団偵察大隊と類似、落下訓練集中 李トクナム90

A前縁軍団所属4個偵察大隊

 前縁軍団は、韓国式に表記すれば、前方地域の軍団を意味する。東部前線から西部前線へ順番に北朝鮮1、5、2、4軍団が駐屯しているが、これらが正に前縁軍団である。前縁軍団にも、4個偵察大隊が所属している。これら軍団隷下偵察大隊の場合、作戦統制は軍団、行政統制は偵察局が担当する体制だが、実際には、軍団長が浸透作戦指揮に介入することはほとんどないという。

 大隊長の階級が異例的に高いのは、偵察大隊の比重を見せている一例である。偵察大隊図表の中の「変信手」は、暗号解読手を意味するという。

 5名で構成される偵察組の構成員は、米国や韓国の特殊部隊チーム級単位と類似した構造を有している。ただ、米国のチーム単位特殊部隊に必ず含まれる医務担当要員が 目に付かない点が注目されるだけである。

 各前縁軍団偵察大隊には、通常的な単位編制の外に 講習所が編成されている。講習所は、平常時、対南浸透活動を遂行する教諭機関である。講習所長は、大隊長と階級が同一な大佐だという。 講習所には、3名で構成された第1から第12までの12個作戦組が編成されている。各作戦組長は中佐級で、副組長は大尉級、組員は上尉級である。即ち、作戦組の場合、全要員が将校で構成されている。全要員が将校で構成される例は、1.21事態当時、金新朝一党のの浸透組でも前例がある。講習所所属作戦組は、正に浸透準備組を意味し、訓練成績が良ければ、平時に対南浸透偵察部隊に選抜されるという。

部隊名 駐屯地 任務 備考
1軍団偵察大隊 江原道平康郡 李トクナム90
2軍団偵察大隊

開城直轄市

李トクナム90
4軍団偵察大隊 黄海北道シチョン郡 李トクナム90
5軍団偵察大隊 江原道平康郡 李トクナム90

B偵察局海上処所属偵察部隊及び海空軍配属偵察大隊

 偵察部隊中には、海上処隷下部隊もある。海上処(処長大佐)の指揮下にある1、2、3基地と22戦隊がそれである。海上処1、2基地は、90年度以前から存在していた部隊で、3基地(別名448軍部隊:300名)は、95年7月に創設された部隊である。各基地は、基地(Base)−編隊(Formation)−組(Team)で編成されるという。例を取ると、1基地1編隊は、6個組で構成されたという。これら海上浸透基地には、潜水艦のみならず、多様な高速間諜船、半潜水艇、水中推進機等も保有しているという。これらの基地は、過去、東海岸浸透担当部隊である448軍部隊(元山)や、448軍部隊隷下の137戦隊が改編又は拡張された部隊と見られる。

 李グァンスの陳述によれば、偵察局海上処22戦隊(戦隊長大佐:兵力110名?)は、正にこの3基地3編隊を拡大独立させて、改編した部隊だというが、これに対しては明らかではない点がある。李グァンスの陳述中に、3基地と22戦隊の創設時期が全て95年7月 と出ているのも矛盾である。NKSF98(North Korean Special Forces 98:以下NKSP98)は、22戦隊と3編隊は、事実上同義語で、22戦隊の創設は、単純な一部基地の拡大改編ではなく、全ての偵察局所属潜水艦を22戦隊隷下に集中させたことを意味すると分析している。22戦隊出身の李 グァンスの陳述によれば、22戦隊1編隊にサンオ級2隻、2編隊サンオ級2隻、3編隊ユーゴ級1隻が所属しており、当時浸透したサンオ級は、2編隊1号艦だったという。

 これら海上処所属部隊は、大部分、浸透運搬手段を管理する部隊で、陸上に上陸する任務は、副次的であるため、戦闘能力は劣っている。これらは、直接浸透する部隊である作戦組と指揮系統が異なるため、同一潜水艦に乗船しても互いの名前と所属も知らない場合が一般的だという。96年の 江陵事件当時の浸透組3名も、22戦隊所属ではなく、1軍団偵察大隊所属作戦組であるものと推定されるという。

 この外に、海軍と空軍に配属された偵察大隊もあるというが、これらの性格も明らかではない。李トクナムの陳述によれば、これらは、支援部隊の性格が強く、別途の作戦組(浸透部隊)は、運用しないという。これに反して、李グァンスは、咸南文川庫岩労働者地区に海軍で別途に偵察大隊を運用しているとし、単純な支援部隊と見るのが難しいニュアンスの発言を行った。

部隊名 駐屯地 任務 備考
海上処1基地 平安南道平原 李トクナム90、李グァンス96
海上処2基地

南浦直轄市

李トクナム90、李グァンス96
海上処3基地 咸鏡南道楽園郡 李トクナム90
海上処22戦隊 咸鏡南道楽園郡 浸透用潜水艦運用 李グァンス96
空軍配属偵察大隊

李グァンス96
海軍配属偵察大隊 咸南文川庫岩労働者地区 李トクナム90、李グァンス96

※海上処1基地駐屯地である平南平原は、地上浸透用基地であり、1基地は、別の場所にあるとする資料もある。

Cその他の偵察局所属偵察部隊

 この外に、偵察局所属軍部隊の訓練を担当する平壌付近の198軍部隊と韓国軍出身者で構成される907軍部隊等が知られている。これらが現在も存在する部隊なのかは明らかではない。

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最終更新日:2003/03/18

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